私たち家庭教師のえーるには、不登校でお悩みのお子さんやその保護者の方から、さまざまなご相談が寄せられています。不登校の原因は個々に異なりますが、近年特に多いとされているのが『起立性調整障害』という症状です。この症状は、身体的な不調だけでなく、学校生活や日常生活に大きな影響を及ぼすため、適切な理解とサポートが必要とされています。
そこで、この記事では、起立性調節障害について詳しく解説していきます。

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起立性調整障害ってなに?
起立性調整障害(Orthostatic Dysregulation:OD)は、主に思春期の中高生に見られる症状で、日本の中高生の約10%がこの障害に悩んでいるとされています。特に朝の時間帯に症状が顕著に現れることが多く、起き上がるとめまいや立ち眩みを感じたり、さまざまな身体の不調が生じて布団から出られなくなることが特徴です。
この症状の主な原因は、自律神経の調整機能が乱れることにあります。通常、朝になると副交感神経から交感神経に切り替わり、体が活動モードに入りますが、起立性調整障害ではこの切り替えがうまくいきません。また、起き上がる際に血圧が低下し、脳への血流が不足することも関係しているとされています。
さらに、他の原因として次のような要因も挙げられます。
- 成長期の栄養不足
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急激な身体の成長に伴い、必要な栄養が不足することで発症するという説
- 遺伝的要因
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親からの遺伝が影響している可能性
- ストレス
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学校生活や人間関係など、精神的な負担が自律神経に影響を与えるという見解
現在のところ、この障害の原因については完全には解明されていません。しかし、午前中に強い体調不良が続き、お昼頃から徐々に回復し、夕方には元気を取り戻すというのが典型的なパターンです。
自律神経の役割
- 交感神経
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運動時や興奮状態で活発に働き、体を活動的にする神経
- 副交感神経
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睡眠時やリラックス状態で働き、体を休ませる神経
起立性調整障害では、これらの神経のバランスが崩れることで、朝に体を動かすための準備が整わず不調が生じます。この障害を正しく理解し、周囲のサポートが適切に行われることで、症状を改善し、日常生活を取り戻す手助けが可能となります。
起立性調節障害の主な症状
- 朝起き上がると、めまいや立ち眩みがする
- 朝になると気分が悪くなる
- 頭痛
- 腹痛
- 動悸や息切れがする
- 午前中は身体が重い又はダルい
- 朝は食欲がない
- 乗り物に酔いやすい
などです。
起立性調整障害は不登校の原因になる?
起立性調節障害を発症すると、朝起きることが非常に困難になります。仮に起床できたとしても頭痛や立ちくらみ、倦怠感などの体調不良が昼過ぎまで続く場合が多く、夕方近くまで回復しないケースも珍しくありません。その結果、学校生活に支障をきたし、不登校に繋がるお子さんが少なくありません。
特にこの障害を抱えるお子さんは、連日の遅刻や欠席が増えることで学校に行くことへの不安やプレッシャーが高まり、次第に不登校の状態に陥ることがあります。
実際に家庭教師のえーるには、「朝起きられない」「授業についていけない」といった悩みを抱えたご家庭から多くのご相談をいただいています。
また、近年ではスマホの長時間使用が関連しているケースも増加傾向にあります。夜遅くまでスマホを使用することで睡眠時間が短くなり、自律神経が乱れる結果、体調不良や起床困難を引き起こし、不登校の引き金となることが指摘されています。
ここでは、えーるにいただいた、「起立性調節障害や不登校のお子さん」の相談事例を少しだけご紹介します。
子供が朝になると毎日のように体調不良を訴え、お昼ごろまで起きられない状態が続いています。その影響で遅刻が増え、学校に行けたとしても教室には入れず、保健室で過ごすことがほとんどです。さらに、保健室で1~2時間ほど過ごした後も体調が優れず、結局家に帰ってきてしまいます。このままの状況が続けば、完全に不登校になってしまうのではないかと心配でなりません。
京都市伏見区 中学2年生 Мちゃんのお母さんより
うちの息子は、最初のうちは遅刻しながらも一生懸命学校に通っていましたが、クラスメイトから「サボり?」と言われたことが大きなショックだったようで、それ以来学校に行かなくなってしまいました。それから約1年近く授業を受けておらず、このままでは高校進学が難しくなるのではないかと、親としてとても心配しています。
東大阪市 中学2年生 Oくんのお母さんより
娘が起立性調節障害を発症してから遅刻や欠席が増えてきて、たまに学校に行けたとしても、「授業が全然わからへんし、体もしんどい」と言って、結局また通えなくなってしまいます。家では毎日ゲームやYouTubeばかりなので、この先の将来がとても心配です。テストも受けていないため、今の学力がどの程度なのかもわかりません。このままでは高校進学が難しくなってしまうのではないかと、不安でいっぱいです。
大津市 中学3年生 Rちゃんのお母さんより
このように、起立性調節障害が原因で不登校になるお子さんが増加しています。「不登校になって遅れてきた勉強を取り戻したい」というご相談や、家庭教師の依頼が私たちの元に数多く寄せられる状況です。この症状の厄介な点は、午前中に体調が特に悪化し、午後から徐々に回復し、夕方や夜になると元気を取り戻すという特徴にあります。このギャップにより、「朝起きるのがしんどいだけじゃないの?」「仮病?」と周囲に誤解されるケースが後を絶ちません。
さらに、起立性調節障害は、思春期の多感な時期に発症しやすいため、心無い言葉に傷つき、一人で悩みを抱え込んでしまうお子さんも少なくありません。このような状況が続くと、不登校に繋がる可能性が高まってしまいます。
周りの大人は「気持ちの問題」などと片付けず、起立性調節障害のことを深く理解し、お子さんの話しに耳を傾けながらサポートしてあげる必要があります。
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起立性調節障害は水分摂取と運動療法で解決できる⁈
「海外のHeart Rhythm SocietyによるExpert consensusでは、水分摂取と運動は、薬物療法よりもエビデンスレベルが高く、薬物療法より水分摂取と運動療法を高く推奨されています。
特に、水分摂取が800mL/日に満たない小児は、起立性調節障害(OD)の発症リスクが4倍に上がるという報告もあります。このことから、適切な水分補給がODの予防や改善に重要であると考えられています。また、ODの子供に推奨される運動療法として、以下の方法が挙げられています。
- 運動負荷量の決定:心肺機能試験に基づき、心拍数を指標として最高酸素摂取量の70%程度の負荷を目安にする。
- 開始体位:臥位または半臥位からスタート。
- 運動の構成:ウォームアップ、運動、クールダウンの3段階で進める。
- 運動耐性の向上:耐性がついたら徐々に運動強度や時間を増やす。
具体的には、リカンベントバイクなどを用いて下肢の運動を臥位または半臥位で始め、徐々に強度を上げる方法が効果的とされています。この内容は関西医科大学総合医療センターが海外の論文を基に紹介しており、運動療法と水分摂取がOD克服の重要な手段となる可能性を示唆しています。
さらに、関西医科大学総合医療センター小児科では、ベッド上での運動療法に対応する機器の開発にも取り組んでいます。具体的には、臥位でエルゴメーター運動を始め、負荷や体位を徐々に変更しながら、下腿筋力を回復させるトレーニングが行われています。このような機器の普及が進めば、ODの症状に悩むお子さんや、運動不足が原因で不登校に至ったお子さんの問題解消に大きく寄与することが期待されます。
一方で、スマホやゲームの過剰な使用が運動不足を助長し、起立性調節障害や不登校を引き起こしているケースも増えています。「家から一歩も出ずにスマホばかり」「運動を全くしない」といった状態のお子さんに対する相談が増加しているのが現状です。不登校の子供たちが引きこもりがちになることで、運動不足がさらに深刻化しているのです。
今後、関西医科大学総合医療センターでの「起立性調節障害を改善するための器具」の開発や普及が進めば、これらの問題を抱えるお子さんやご家庭にとって、明るい希望となるでしょう。運動療法と水分摂取というシンプルな取り組みが、多くのお子さんの生活をより良い方向に導いていくことを期待せずにはいられません。
私達えーるはこれまで『起立性調節障害』で苦しむお子さんや不登校のお子さんを沢山応援してきましたが、これからも一人でも多くのお子さんのお悩みが解決できるように頑張ります。
どんな小さな悩みでも構いませんので、まずは気軽にご相談くださいね。
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